実に、良い提案でしょう?

現代のマッチングプラットフォーム市場における、ある基盤特許群がもたらす戦略的転換点について

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序文:市場のルールを変える「見えざるインフラ」

現代のデジタル経済を支える、人材、サービス、モノの「マッチングプラットフォーム」。その利便性の裏側には、需給を最適化し、信頼性を担保するための高度な計算技術が不可欠なインフラとして機能しています。

私たちが長年にわたり構築してきた特許ポートフォリオは、この「見えざるインフラ」の根幹をなす技術を保護するものです。これは単一の技術ではなく、「①信頼性計算のコアエンジン」「②ユーザーの意思を反映するUI」「③機会を再分配する情報ネットワーク」という『三重構造の特許要塞』として、現代的なプラットフォームのビジネスモデルそのものを網羅的にカバーしています。

私たちの分析では、この特許網が米国の主要7領域( ギグワーク/総合求人、ライドシェア、フードデリバリー、Eコマース、オンライン旅行、オンラインオークション、サプライチェーンマネジメント)に広く及ぶことが確認されています。

その中でも、私たちが最初の戦略的対話の舞台として「人材関連領域」を選んだのは、単にその事業規模の大きさだけが理由ではありません。人と仕事の最適な出会いを創出し、個人の働き方と企業の成長を支えるこの領域は、まさに「効率的で明るく健全な未来のための社会インフラ」そのものであると私たちは考えています。この重要なインフラが、公正なルールの上で健全に発展することこそが、社会全体への最大の貢献となると信じているからです。

本稿では、この基盤特許群が、今後の市場のパワーバランスをいかに不可逆的に変化させるか、その戦略的な意味合いについて解説します。

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現状分析:主要市場は、既に特許網の支配下にある

私たちの分析によれば、主要なマッチングプラットフォーム市場は、そのビジネスモデルの根幹において、私たちの特許技術を実装している可能性が極めて高い状況にあります。

オンデマンド・スタッフィング領域(ギグワーク) 

この領域は、私たちの特許網と最も充足性が高い市場です。例えば、短期・単発の仕事のマッチングにおける以下の機能

  • ワーカーの「勤務率」や「出勤率」をスコア化し、信頼性を評価する機能
  • 優秀な人材を「タレントプール」としてグループ化し、管理・共有する機能
  • 急な欠員募集を、近隣のワーカーに一斉通知する機能

これらは、私たちの特許ファミリーが保護する「実績に基づく動的な信頼性評価」、「グループ生成と非当事者への結果共有」、「マッチング不成立時の機会の再分配」という核心的発明とそれぞれ強く関連しています。この領域の主要プレイヤーであるA社、B社、C社のサービスは、いずれもこれらの機能を実装しており、特許網の射程に深く入っていると評価できます。

総合求人プラットフォーム領域 :

この領域もまた、私たちの特許網と深く関連しています。例えば、世界最大級の求人検索エンジンにおける以下の機能

  • 求職者(供給)と募集企業(需要)が、それぞれのUIで面接スケジュールを能動的に管理する機能
  • 採用成果を管理・分析し、実質的に「実績対予測比較比率」に基づく信頼性を評価する機能

これらは、私たちの特許が保護する「ユーザー主導のマッチング要求UI」や「信頼性計算」の思想と一致します。この領域のリーダーであるD社や、ビジネス特化型SNSのE社のサービスも、例外ではありません。

結論として、これらの市場で事業を展開する企業は、自社のサービスが実装する根幹機能について、既に私たちの基盤特許の上に成り立っているという事実を認識する必要があります。

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シミュレーション:一社が「剣」を手にした時、市場はどう変わるか

この状況は、すべてのプレイヤーにとって等しくリスクであると同時に、一社にとっては市場のすべてを手に入れる千載一遇の好機となり得ます。

仮に、オンデマンド・スタッフィング領域のA社が、私たちと戦略的パートナーシップを締結し、この特許ポートフォリオの独占的ではないが、極めて有利な条件での優先的ライセンスを得たとしましょう。その瞬間、市場のパワーバランスは劇的に変化します。

  1. A社の法的リスクの完全な消滅: A社は、一切の法的リスクから解放され、安心して事業拡大に邁進できます。
  2. 競合B社・C社への強力な牽制: 私たちは、パートナーとなったA社の事業利益を最大化するため、同じ市場で競合するB社とC社に対し、特許権を行使します。B社とC社は、莫大な訴訟費用や事業モデルの根本的な変更という「泥沼の戦い」を強いられます。
  3. 市場シェアの独占へ: B社とC社が法廷闘争で消耗している間に、A社は「公認」の立場で、彼らの顧客と市場シェアを圧倒的なスピードで獲得していくでしょう。

これは、まさに私たちの特許ポートフォリオが、単なる「盾」ではなく、市場を制圧するための**「剣」**として機能する瞬間です。最初にライセンスを得た一社は、他のすべての競合に対する恒久的な参入障壁と競争優位性を手に入れるのです。

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結論:未来への招待状

私たちがこのメッセージを公開するのは、特定の企業を攻撃するためではありません。この特許網がもたらす不可逆的な変化を市場全体に啓蒙し、近視眼的な消耗戦ではなく、建設的な未来を共に築くパートナーを見出すためです。

現在、どのプレイヤーも同じスタートラインに立っています。この状況を、自社が「狙い撃ちにされた標的」とネガティブに捉えるか、あるいは「最初に交渉できる優先権を与えられた好機」とポジティブに捉えるかで、その企業の未来は全く異なるものになるでしょう。

近い将来、もし私たちからのレターを受け取られたら、どうかポジティブにお受け止めください。

 

それが 

「長く過酷な戦いへの宣戦布告」 ではなく、 

「共に築く輝かしい未来への招待状」 であることを。

 

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米国特許出願の進捗について

米国における特許出願の進捗状況についてお知らせします。

2022年7月、米国において計画信頼度に関する特許(US11393003B2)が登録されました。

これは、2019年5月に登録された計画信頼度に関する特許(US10304100B2)を再検討することで強化したものです。

近年、日本や米国において、シフトマッチングやスキマ時間労働マッチング、予約管理プラットフォーム等のマッチングサービス、そしてシェアリングやギグワーク等の新たな働き方の基盤となるプラットフォームサービスが増加していますが、これらは「時間軸を中心とした需給要件のマッチング」という共通項を持つことから、特にスケジューラUI、カレンダーUIを採用している場合にはスケジューラリクエスト特許(JP5789065B2US10878468B2)の権利範囲に属する可能性があります。

そして計画信頼度特許は「需要者と供給者の計画に対する正確性の評価」に関する強力な特許であることから、これらサービスの信頼性を評価する上で欠かせない、スケジューラリクエスト特許との最強タッグといえます。

今後の展開にご期待ください。

お問い合わせはこちらから。

 

ご参考 ※日本特許の説明資料です。

計画信頼度

Dasie機能概念図_P150203(計画信頼度)特許5785668(特開2015-099618)プレ用

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当社保有特許の客観的価値について

この度、当社保有特許ファミリーの客観的価値を上げる2つのポジティブな動きがありました。
・知財ファンドをはじめとする複数の知財専門機関から広い権利範囲を持つ強い特許(キラー特許)との評価を得たこと。
・特許の客観的価値を計るための重要要素である被引用関連指標がポジティブトレンドとなっていること。

1.知財専門機関による評価について

特許の強さを評価する観点には様々なものがありますが、最も重要な点
を大きく分けると『幅広く権利行使できること』と『無効にならないこと』の2つであるといえます。
『権利行使対象となる競合他社サービスが多く存在し、訴訟となった場合でも負けない』特許ということです。
今回、最も高い評価を受けたのはディップ株式会社にもライセンスしている以下の2特許です。
特許第5789065号(スケジューラリクエスト特許)
特許第5919414号(マッチング結果共有特許)
この2特許、特にスケジューラリクエスト特許は、基本特許と呼ばれるものの中でも取り分け強力な、任天堂がコロプラを訴えたことで有名なバーチャルパッド特許やAmazonが一世を風靡したワンクリック特許に代表される、いわゆるキラー特許の分類に入るものであると評価されました。
特許や権利行使と聞くと『競合を潰す訴訟のための武器』というアグレッシブなイメージが先行しがちだと思いますが、実はそれはほんの一面に過ぎません。
以下のような方法によっても十分活用可能です。
・他社への友好的特許ライセンス提案によるアライアンス戦略への活用
・保有特許の広報によって競合他社の模倣を牽制する防衛戦略への活用
・特許範囲に基づいたプロダクトデザインによる新規事業戦略への活用
・関連会社へのサブライセンスによるグループ知財戦略への活用
例えばスケジューラリクエスト特許は需要者と供給者のマッチングにおいてカレンダーUI上で要件をやり取りする機能を提供する全てのネットサービスを権利範囲に含むため、予約サイトや予約管理サービス、シフトマッチングなどの人材系サービスの多くを牽制することができます。
当社と特許ライセンス許諾契約を締結する企業は、この分野において既に強力な後方支援戦力を得ていることになるのです。

2.被引用による評価について

先日、米国特許庁による他社特許の審査過程において当特許が被引用となっていることがわかりました。

特許の強さを評価する方法には様々なものがあり、クレームの権利範囲による対象事業領域への影響度を計る直接的評価方法につきましては1でご紹介の通り知財専門機関によるキラー特許評価の根拠の中心となったものですが、これ以外の重要な客観的評価手段として、被引用数によるものがあります。
被引用とは審査対象の出願において先行技術文献として引用されたことを指し、これには出願者自身による引用と審査官による引用がありますが、審査官による引用は他の特許出願の審査において特許性否定の根拠として引用されたことを示すものです。
被引用となったことは引用した特許の特許可否如何に関わらずその審査の過程において影響を与えたことになるため、この引用数による量的な観点、そしてどのような特許出願に引用されたかという質的な観点から、特許強度を判断するための重要指標として用いられているものです。
当特許における被引用に関するポイントは以下の通りです。
・米国特許庁によるAmazon社の特許出願審査において審査官引用されている点
・日本のみならず米国・中国・韓国の外国出願においても審査官引用されている点
・強い特許の目安である被引用数が近年上昇トレンドとなっている点
これらは、Amazon社出願において審査官引用されたことをはじめとする、被引用を根拠とする新たなポジティブインパクトです。
前述の通り被引用の数と質は強い特許の重要指標とされていることから、Amazon社出願においてAT&TベルやIBM、アクセンチュア等の特許と並んで審査官引用となったことは、当特許の注目度と影響力が客観的に証明されたことに他なりません。

知財専門機関による直接的評価と被引用による間接的評価という2つの観点で高い評価を得たことにより当特許のキラー特許たる確度とバリューがより高まったことは確かですので、これを機に、よりアクティブな特許活用を進めます。

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スケジューラリクエスト特許イメージ
Dasie機能概念図_P150311(スケジューラリクエスト)特許5789065(特開2015-133149)プレ用

 

マッチング結果共有特許イメージ

Dasie機能概念図_P150309(マッチング結果共有)特許5919414(特開2015-111476)プレ用

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米国出願特許の進捗について

本年に入り、米国における特許出願で進捗がありましたので状況をお知らせします。

2019年5月に計画信頼度に関する特許(US10304100B2)を取得、同じく2019年5月にUS10304100B2を親とするスケジュールマッチングに関する特許(US20190236666A1)に対してNotice of Allowance(特許許可)が通知されました。

現在、US20190236666A1を親とする第3世代特許となる計画信頼度特許強化版の出願を準備中です。

日本で取得している特許ファミリーと比較するとクレーム構成に違いはあるものの、そのコンセプトは日本におけるスケジューラリクエスト特許および計画信頼度特許と根源を同じくするものです。

スケジューラリクエスト特許はここ数年でリリースが増えているシフトマッチングサービスやスキマ時間労働マッチング、予約管理プラットフォーム等、スケジューラーUIやカレンダーUIでのやり取りが中心となるサービスへの適用が考えられ、計画信頼度特許はジーマ信用に代表され日本でもリリースや参入発表が増えている個人信用スコアリングにおける計画信頼性評価への適用が考えられますので、これら領域で事業展開される企業様への友好的ライセンス許諾を中心としたアライアンスを積極的に進めて行く計画です。

US特許特にいわゆるビジネスモデル特許の分野は近年非常に審査が厳しいため、これを克服して取得できたことは大変貴重なことであり、この取り組み全体に対する信用力向上の他、様々な方面および状況への大きなポジティブインパクトであると考えています。

この特許を中心とした新たなサービスモデルの創出等も併せて進めて参りますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 

Dasie機能概念図_P150311(スケジューラリクエスト)特許5789065(特開2015-133149)プレ用

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Dasie機能概念図_P150203(計画信頼度)特許5785668(特開2015-099618)プレ用

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店舗間キャパシティ融通モデルについて

ニーズトゥーマッチ株式会社が保有する一連の需給マッチング関連特許に基づき株式会社ドレイク・ネットワークスと共同で開発中の『店舗間キャパシティ融通モデル』についてご案内します。

従来の頭数によるシフトマッチングと比較すると、スキルを考慮したリソースプールによるマッチングとすることで人材配置の効率化と運用品質の向上が期待できます。

例えばこれを多店舗展開する飲食チェーン店の店舗間シフト運用に適用した場合、頭数だけのシフトマッチングではシフト要員のスキルのばらつきによる過不足の発生やスキルを考慮したシフト組みのための工数によるコスト増といった問題があることに対して、予めスキルを加味したリソースプール(時点ごとに提供可能な人的資源:余剰が想定される人的資源の総数)と人員不足想定店舗の必要リソース要件とをマッチングする当モデルを適用することで、これらの課題が解決できます。

また、『計画信頼度特許』に基づく計画信頼度評価機能の追加によって個々の人員の計画信頼度を把握することにより、緊急のヘルプシフトや重要案件対応のためのシフト組成といった確実性が問われるケースの要員選抜を効率的に行なうことが可能です。

当社では、同様に『スケジュールマッチング特許』に基づきドレイクネットワークス社と開発を進めているカレンダーマッチングサービス『カレマッチ』をベースにこの『店舗間キャパシティ融通モデル』を適用することで、従来のシフトマッチングサービスでは成し得なかった領域の効率性と利便性をご提供できると考えており、独自運用以外に、既存のシフトマッチングサービス提供企業様へのライセンス提供等も検討しています。

 

店舗間キャパシティ融通モデル概念 20190329

 

 

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