需給マッチング支援システムについて

0.Dasieとは?Dasieの概念ご紹介

Dasie/ダジー(Demand And Supply information Exchange (System))(※1)は、需給情報マッチング支援システムです。

サービスや商品の取引が成立するためには需要側と供給側との間での取引条件の合致が必要であり、その前提となる取引条件の提示は双方からされることが理想的ですが、実際の取引、特にBtoCの取引においては取引条件の提示は供給側一方からされ、需要側には提示された条件に合意するかしないかの選択余地しか与えられていないのが現状です。(※2)

これはインターネットを介したBtoCの電子商取引で特に顕著です。

直接交渉の機会がないことにより、供給側は需要調査のためのマーケティングや需要喚起のためのプロモーションに多くの時間と費用を費やし、需要側は希望の商品やサービスを調べるための作業に多くの時間と労力を費やした挙句に、不要なマーケティングコストを負担する結果となっているのです。

これらの無駄を削減するためには、需要側と供給側との間の条件提示に基づく情報交換および交渉の機会が必要であり、電子商取引を含む全ての取引に対してその環境と仕組を提供することが当システムの主な目的です。

具体的には、需要者および供給者がPCやモバイル端末からインターネット等を通じて需要および供給の要件を登録することでマッチングが行われ、それぞれの要件に対応する相手方の情報の配信によって交渉の契機を提供するというものです。

1.従来の課題とその背景 (予測的アプローチと既存手段の固定観念化)

それでは、需要側と供給側との間での直接交渉の機会がないことにより、具体的にはどのような問題が発生しており、なぜそれが解決出来ずにいるのでしょうか?

・予測的アプローチによる問題

供給側においては、需要側の要望やその度合を把握するためにマーケティングを行ったり、さらには需要を喚起するためにプロモーションを行うことで、結果として間接的な条件提示をほぼ一方的に行なっていると言えます。

この方法の問題点は、マーケティングもプロモーションも、実績に基づいているとは言え全てが予測に過ぎない点です。

予測である以上、その手法がどんなに高度になったとしても需要実態との乖離を完全に解消することは出来ず、その差分を埋めるための行為がコストとなります。

予測分析の精度によっては不確実なターゲティングによるマーケティングコストの浪費が考えられますし、予測手法の方向性によっては分析にかけるコスト増大で逆鞘となる場合すらあるかも知れません。

また、商品やサービスを需要者が必要とする時期が不明であることにより生産計画も予測に基づいて行われるため、過剰在庫によるコスト負担や在庫不足による販売機会損失のリスクを常に考慮する必要があります。

需要側においては、分析のために増加したマーケティングコストが商品やサービスの価格に転嫁されることによる不利益や、不確実なターゲティングで的はずれなプロモーション情報が配信されることによって本当に必要な情報が埋没するといった不利益が考えられます。

また、必要とする商品やサービスの提供時期が不明であることにより調達計画も予測に基づいて行われるため、調達量の過不足による調達コストの増加や調達難による利用機会損失リスクの発生を常に考慮する必要があります。

・既存手段の固定観念化による問題

ITが発達した現代においてこのように根本的な問題が解決されていないのは不思議な感じがしますが、むしろITが発達したことで見かけ上の利便性が向上したために既存手段の見直しに目が向けられなかったことが原因ではないかと考えます。

一つには、データベースマーケティングの発達と普及です。

予測技術の向上を追求するうちに手段に走って目的を見失ったことにより、実態値を取得する手段の見直しに目が向けられなかったのではないでしょうか?

もう一つには、電子商取引の発達と普及です。

Amazonに代表されるEC業態が直接交渉排除による効率化で急成長しデファクトスタンダード化したことにより、その対極である手法に目が向けられなかったのではないでしょうか?(※3)

更にもう一つには、インターネットによる情報収集手段の発達と普及です。

検索サービスやポータルサイト、比較サイトや予約サイトといった情報収集手段が利便性を追求して個別最適に発達したことにより、利用目的に応じたサービス統合の必要性に目が向けられなかったのではないでしょうか?

検索エンジンやポータルサイト、予約サイトや比較サイト等、現在提供されているインターネット上の情報取得手段は、それぞれは大変便利ですし単一要件を満たすには非常に有用ですが、複合要件を満たそうとした場合、それぞれの要件毎に適した手段で別々に情報を集める必要があるため重複作業が多く発生し非効率です。

また、これらの情報取得手段はそのほとんどがサービス提供側からの一方通行の情報提供であるため、情報収集作業において需要側に過度の労力を強いています。

例えば休暇で旅行に行こうとした場合、宿の予約や移動手段の確保、旅行に必要な消費財の購入や行く先々での観光情報の取得など必要な情報は多岐に渡りますが、宿の予約は宿泊予約サイト、移動手段は交通機関の予約サイト、消費財購入はEC商店街、観光情報はポータルサイトと、全ての情報を集めるには様々なサイトを渡り歩いて調べる必要があり、加えてその都度日程他の条件入力を強いられることになります。

パッケージツアーを選択すればある程度の省力化は可能ですが、それでも必要な全情報の一部に過ぎません。

ましてや複数の候補をシミュレーションによって比較検討したい場合などは、この作業をかなりの部分重複して繰り返す必要があるため大変な重労働と成りかねません。

IT環境に順応し使いこなしている人達の中には、これらの問題がさほど気にならず、むしろ情報収集効率化の工夫に楽しさを見出している人すらいるかも知れませんが、そのような人はITリテラシーの高い人の中でもごく少数でしょう。

問題は、大多数を占める情報弱者です。

全世界のマーケティングコストにおける新聞からインターネットへの比重転換を見るまでもなく、生活する上でのIT依存度は益々高まっており、比例して情報格差が拡大することで情報弱者の不利益も増加しています。

情報弱者の不利益解消のためにも、生活する上での必要性に沿った、目的のためのやさしいITが求められているのです。

2.課題解決に向けたあるべき取り組み (予測から実測へ 手段から目的へ)

それでは、どうしたら上記課題を解決できるでしょうか?

答えはシンプルです。

予測から実測へ、手段から目的へ(個別最適から全体最適へ)、需要と供給に対する取組方とそれを実現するインフラのあるべき姿を見直せば良いのです。

・予測から実測へ

実測とは、需要側と供給側双方が要件を提示し、相手方の要件を知ることで、より実態に近い情報を得ることです。

1.サービスや物品を必要とする需要者は、仕様や価格とその必要時期をシステムに登録します。

2.サービスや物品を提供したい供給者は、仕様や価格とその提供時期をシステムに登録します。

3.システムは要件のマッチングを行い、適合度の高い相手にそれぞれの対応情報を知らせます。

4.需要者と供給者は、対応情報の中から最も適したものを選択し交渉を行います。

こんな単純で当たり前のことですが、これだけで色々な効果が期待できます。

先ず、需要側が既に必要な要件を示しているのですから、需要の予測分析という行為がほぼ必要無くなり、これにより発生していたコストの価格転嫁が抑制されます。

分析作業に掛かっていたエネルギーも節減されますので、地球にも消費者にも歓迎すべき結果となります。

また、要件に時期情報を含めることによって生産時期や消費時期の調整が出来るようになりますので、供給側においては生産コストの削減と販売機会損失リスクの低減が、需要側においては調達コストの削減と調達機会損失リスクの低減が期待出来ます。

・手段から目的へ

目的とは、需要側と供給側双方が要件を提示し、相手方の要件を受け取り、取引交渉するための一元化された手段を得ることです。

この時、一元化が達成できてもそのための手間が増えるのでは意味がありません。

行動する上で不可欠な行為に少しの手間を加えるだけで何倍もの効果を実現するような、レバレッジの効いた仕組が理想です。

例えば、スケジューラに計画や予定を登録することでその内容に適した情報が配信され、この情報を元にシミュレーションや交渉をすることが出来るとしたらどうでしょうか?

1.サービスや物品を提供したい供給者は、供給に関するイベントをスケジューラに登録します。

2.サービスや物品を必要とする需要者は、需要に関するイベントをスケジューラに登録します。

3.システムは要件のマッチングを行い、適合度の高い相手のイベントに対応情報を配信します。

4.需要者と供給者は、それぞれのイベントに届いた対応情報の中から最も適したものを選択し交渉を行います。

5.需要者と供給者は、必要に応じてイベント内容の変更によるシミュレーションを行うことで、より適した対応情報を検討しながら予定や計画を完成させます。

この様に、需要側および供給側がスケジューラのイベントにアクティビティーを登録することで、そのアクティビティーが必要とする要件が自動提示され、マッチング結果情報がイベントに向けて配信されることにより、スケジューラが情報発信と情報収集の一元窓口となります。

要件提示から取引交渉までの手段の一元化が実現することで、利用者は本来の目的である計画の検討に専念することが可能となります。

3.Dasieによる解決へのアプローチ

以上のような需要と供給に関する様々な課題を解決するためのインフラがDasieです。

・行動計画変数による新たなマーケティングミックスの提供

Dasieは、マーケティングリサーチにおけるセグメンテーション分析の新たな切り口として行動計画変数をご提供します。

行動計画変数とは、主に消費者の登録スケジュール(行動計画)から得られる需要時期に関する情報を活用することにより、購買時期や購買動向に関して従来よりも確度の高い予測を可能とする新たなセグメンテーション変数です。

従来の行動変数による購買時期の分析は過去の購買履歴のみを元にした予測であるためにその確度には限界がありますが、行動計画変数による分析は消費者自身のスケジュールを元にした予測であることから、消費者の計画実現性に比例して最大100%の確度を得ることが可能です。

もちろん全ての消費者が常に高い確度で自分のスケジュール通りに行動するとは限らないため消費者毎の計画実現性の把握が必要ですが、Dasieでは過去の計画と実際の購買履歴を保持することで個々の消費者の計画実現性、即ち計画信頼度を得ることが出来るため、計画信頼度別セグメンテーションによる高角度・高効率の予測分析が可能となります。

また、通常マーケティングリサーチは企業が消費者から需要情報を集めて予測分析を行うことで製品の開発計画や販促計画の策定に活用するものですが、Dasieでは需要側と供給側が常に対等に扱われる仕組であるため、企業が登録した供給情報を元にDasieによって提供される供給時期や供給動向等の予測データを消費者が購買計画に活用するといった、逆マーケティングリサーチも可能となります。

見方を変えればこの機能は、専用システムを持たない消費者でも利用可能な、BtoC版サプライチェーン・インフラにもなり得るのです。

マーケティングリサーチへの貢献はこれだけではありません。

セグメンテーション分析のための重要な要素である心理的変数(サイコグラフィック変数)は消費者行動の背景をより深く理解するために有効な変数ですが、その収集にはアンケートなどによる消費者調査が必要であるため、信憑性や客観性および即時性に課題がありました。

Dasieでは、アンケートに頼っていたライフスタイル、パーソナリティー、生活価値観、ブランドロイヤリティ、趣味、製品関与といった心理的変数の要素を、本人が事前設定したデフォルト情報とリクエストの都度に提示される要件から得ることにより、従来の問題を解決します。

Dasieにおいて需要者が嗜好にあった物品やサービスの提案を受けるために必要なことは、自分に関する情報や希望する仕様をより多く提示することです。

プロファイルや行動計画、希望する物品やサービスの仕様に関して、より正確に、より具体的に提示することでより的確な提案を受けることが出来るとしたら、多くのユーザーがより多くの情報を進んで提示することでしょう。

やらされ感の強いアンケートと違い実際の要求に基づく情報ですので、これほど確度の高いマーケティングはありません。

・3次元ポータルによる新たな情報管理手段の提供

Dasieなら、スケジュール上のイベントという最も絞りこまれた(最適化された)目的に向けて必要な対応情報が配信されるため、ブレが無く効率的です。

また、日時や仕様といったイベント内容を変更するだけで再度マッチングが行われるため、シミュレーションを繰り返すことによる最適な計画策定が可能です。

手段に振り回されること無く目的に集中することが可能となるのです。

Dasieなら、検討候補をスケジュールのイベントとして登録しておけば、そのイベントが必要とする仕様や時期等の条件に適合する物品やサービスの情報を知らせてくれます。

例えその時点で適合する物品やサービスの情報にヒットしなくても、対応情報が登録された時点でマッチングが成立し知らせてくれるので取りこぼしがありません。

例えば北海道旅行という大イベントがある場合、宿泊という中イベント、観光やおみやげ購入や移動という小イベントをスケジュールに登録しておくだけでそれぞれのイベントの目的や粒度にあった情報が提供されるためほとんど手間なしであり、シミュレーションも容易に行うことが可能です。

このように、時間軸に沿った情報の収集と発信の一元管理を可能とするのがDasieの3次元ポータルです。

4.Dasieの主要な特徴および機能のご紹介

キーワードマッチング

日時や場所、ジャンル等の定型的または固定的な要素は選択式とすることで入力効率を保ち、形容による補足情報のような非定型的または非固定的な要素はフリーワード入力とすることで広い適応範囲を実現します。

規定値に存在しない要素であっても指定することが出来るため、要望を妥協することなくリクエストすることが可能です。

グループマッチング

複数の需要者と複数の供給者をグルーピングまたは階層化として扱うことでBtoCだけでなくBtoBやCtoCにも対応することが可能です。

これにより企業内や複数企業間における大規模プロジェクトのタレントマネジメントに代表されるようなヒトに対する適用に加え、SPDに代表されるような、期日とスペックの管理が必要なモノに対しても適用が可能となっています。

・1対1はもちろんn対nやその上位階層とのグループマッチングに対応しています。

スキルも要件とすることが出来るため、特定スキルを要するチームの人員配置等、HRマネジメントに利用可能です。

・類似した要件のリクエストを地域・カテゴリー・期間等で分類・集約し取り纏めることにより、まとまった一つの要件として需給の相手側に提示することが可能です。

需要側のメリットとしては個々の要望を取り纏めて提示することにより一定の需要として存在を認識させることが可能となるため、フラッシュマーケティングや共同購入サイト等の供給側に需要への対応を促す効果が期待できます。

タイムマネジメント

需給情報を始めとするシステム内で扱う全ての要件を時間軸で管理することで一貫したタイムマネジメントを可能としています。

あらゆるサービスからの情報提供を時系列で扱うことにより、ジャンルを超えた複数サービスの組み合わせでシミュレーションしながら予定や計画を立てることが可能です。

サプライチェーンマネジメント

企業による利用においては仕入(需要)予定と販売(供給)予定を需給リクエストとして登録することにより、需給予定に対する見込み(引合)予定を得ることが可能となるため、需給予測に基づく確度の高いサプライチェーンマネジメントの実現をフォローします。

スケジューラインターフェイス

スケジューラをメイン・インターフェイスとすることにより、需要または供給リクエストの送信およびそのリクエストに応えるリコメンド情報の受信といった情報の管理をスケジューラの明細単位で視覚的に行うことが可能であるため、予定ごとの効率的な需給情報管理が可能です。

需要予定や供給予定を繰返し予定として登録することにより、定期的に発生する需要や供給のリクエストを自動で行うことが可能です。

・需要側においては週次の食料品購入や月次の酒類まとめ買いの予定等、定期的に発生する需要を繰返し予定として登録することにより都度リクエストする必要がなくなるため、リクエスト漏れのない効率的な需要リクエスト登録が可能です。

・供給側においては定期的に供給可能な特売品情報を繰返し予定として登録することにより、特売品戦略の計画的な策定が可能です。

関連イベント時系列フォロー

予定した主イベントを基点に主イベントに至るまでの期間と主イベント以降の期間に発生する事が予測される関連イベントを自動登録する機能により、関連イベントに必要なサービスの情報提供を時系列で受けることが可能です。

・車の購入においては、法令点検やオイル等の消耗品交換、保険の更新等、納車日を基点に未来に向けて定期的に発生する関連イベントをフォローします。

・出産においては、出産予定日を基点に出産前と出産後の各時期に発生する様々なイベントを自動登録することにより、必要な時期に必要な情報を的確なタイミングで受け取ることが可能です。

多ジャンル対応

他ジャンル対応によりジャンル横断の情報交換が可能であるため、個別サービスに比べると需要側も供給側もより多くの選択肢を得ることが可能です。

リコメンド情報相互配信

需給情報マッチングの情報配信は、需給情報のマッチング結果により需要側向けと供給側向けに作られたリコメンド情報を双方に配信するリコメンド情報相互配信です。

単なるマッチング結果の通知だけでなくアップセルやクロスセルといった拡張リコメンドや他ジャンル情報のリコメンドを行うことにより、需要者にとっては要望に即しつつ可能性を広げる選択肢の提供を、供給者にとってはより多くのマーケティング情報の提供を可能とします。

情報配信マネジメント

情報配信の許容度をレベル付きで設定することにより、指定ジャンル内の別グレードのリコメンド情報や別ジャンルのリコメンド情報の提供を選択することが可能です。

目的が決まっているスケジュールへのリコメンド情報だけでなく目的が決まっていない空き時間に対するリコメンド情報の配信が設定可能であるため、シミュレーションによるプラン作りが可能です。

5.ポスト・マーケティング ~直接リコメンドの時代~

ポスト・フラッシュマーケティング ~情報鮮度が保証されていることの強み~

今、どこのなにがおトクなのか?を知るにはフラッシュマーケティングのクーポンが有用です。

まさに今提供されているものだけが掲載されているため、古くて役に立たない情報をかき分ける必要がないからです。

ただ、フラッシュマーケティングのクーポンは店の代わりに運営会社が集客し、代償としてロイヤリティを支払う仕組であるため店側の利幅が薄く恒常的に利用するものではないでしょう。

この、フラッシュマーケティングの利点である『新鮮な情報』を提供するのが、Dasieの期間指定検索です。

Dasieで扱われる需要と供給の要件情報には、今現在、あるいは未来の何時から何時まで有効な情報であるかを示す期間情報が必須であることから、情報の賞味期限を心配する必要が無い点が大きな強みです。

ポスト・キーワードマーケティング ~需要リクエストを軸としていることの強み~

ITにおけるマーケティングを見ると、検索やブログ閲覧の際に表示されるリスティング広告が代表的ですが、これは

・このキーワードで検索している人はこういった商品に興味があるだろう

・このブログを見ている人はその中のキーワードに関連する商品に興味を持つだろう

という前提のもとに行われています。

以前に比べれば推論の進歩で的外れな広告が少なくなったものの、検索の際のリスティング広告に比べるとブログ中のキーワード広告は未だに的外れな広告の列挙が目に付きます。

また、そもそもが『興味をもつだろう』という推測の上に成り立っているため、そのキーワードをクリックした人間が実際の購買行動に至るまでのコンバージョン率を見てもその効率は良いとは言えません。

Shop.orgが2008年に発表した米国125のECサイトの平均データでも、コンバージョン率(総注文数/総訪問数)は2.8%です。

この数字を高いと見るか低いと見るかは観点によっても異なりますが、少なくとも、97.2%もの無駄なクリックとこれを誘引するための工程が、リソースの逼迫とコストの価格転嫁という、環境にもユーザーにもうれしくない負の影響をもたらしていることは動かし様のない事実です。

ポスト・予測マーケティング ~予測によるリコメンドから実要求によるリコメンドへ~

では、なぜこのような量に物を言わせた力技のマーケティングが行われているのでしょうか?

ひとえに、『だろう』を根源としているためです。

検索をする人やブログを見る人に対し、そこにあるキーワードやその周りの文脈から『興味があるだろう』と推測しても、あくまで推測に過ぎず、

・その人が需要を目的としているのか、供給を目的としているのか

・そもそも需要や供給といった購買目的があるのか

がわからない中で、ひたすら需要喚起をしているだけです。

まだまだ単方向が主流のテレビや紙メディアならまだしも、双方向で効率のよい情報交換が出来るはずのIT上でこのような垂れ流しが行われ、その一方でグリーンITなどと言っていることに違和感を覚える人は少なくないのではないでしょうか?

この『だろう』に基づくマーケティングから脱却する仕組こそがDasieです。

基本は需要目的か供給目的かの意思を表明することであり、これに売りたい物や買いたい物、ほしいサービスやしたいサービスの仕様を加えてリクエストとして登録することで、その指定期間中は『今、有効な意思』として相対する情報(オファー)を収集し続けるのです。

これほど明確なマーケティングターゲットはないでしょう。

探さなくても自分から手を挙げているのですから。

 

6.注釈説明

※1)本製品(Dasie:仮称)に関する基本技術は、特許協力条約(PCT)に基づく国際特許出願として出願済です。

※2)本書においては概念説明を単純化する目的から、供給側を主に物品やサービスを提供する企業や店舗、需要側を主に物品やサービスの提供を希望する一般消費者とするいわゆるBtoCの取引を取り上げていますが、実際のDasieにおいては需要側と供給側の組合せおよび資格について一切の制約を設けていないため、BtoBやCtoCも対象となりますし供給側が企業に限定されることも需要側が個人に限定されることもありません。

例えば求職する個人と求人する企業の関係を例にしますと、労働力を提供する個人は供給側として、労働力を必要とする企業は需要側として扱われますので、一般とは逆の需給関係でBtoCが成り立つことになります。

※3)電子商取引などの分野においてマルチエージェントシステムを用いた自動交渉の枠組みやメカニズムの開発が進められていますが、これらは何れも大規模交渉のための自動化の取組であり、一般需要者に当てはめることは現時点において現実的ではありません。

また、Dasieの目的とするところは電子商取引における交渉の自動化ではなく、電子商取引を含む全ての取引における、条件提示に基づく直接交渉の実現による需給構造の適正化であるため、目的・方法・対象範囲において、自動交渉システムとは異なるものです。