グループマッチングに関する特許は、類似の要件を持つ需要者や供給者をグループ化し要件調整によって形成したグループ総体としての要件を他のグループ要件や個の要件とマッチングさせることで個対個のマッチングだけでは成立が困難であった交渉における成立確度の向上を目的としたもので、計画信頼度に関する特許やマッチング結果共有に関する特許と同様にユーザーインターフェースを特定の入力手段に限定していないことから、広い適用範囲を持つ特許です。
個別要件の取り纏めによるグループ要件の形成をメインの要件としている特性上、共同購入や共同販売等のコーペラティブな取引形態や、個のスキルセットの取り纏めが必須要件であるクラウドソーシングサービスへの適用が最もシンプルで効果的です。
例えば共同購入においては、ロット当たり最低販売個数の制約等によって折り合わなかった販売条件に対して個の需要要件を取り纏め販売条件に近づけることによって交渉成立の機会が増えることが期待できますし、大型案件化が加速するクラウドソーシングサービスにおいては、大規模プロジェクトで必要となる複数のスキルセット群要求に対する個のスキルやリソースの取り纏めを自動化することによって効率性や採算性、サービス品質の向上が期待できると考えています。
また、BtoB領域ではシェアードサービスへの適用も有効と思われます。
グループ企業の業務スキル・人的リソースをシェアすることで有効活用しようというシェアードサービスの目的を達する上で重要なのは個の持つ業務スキルやキャパシティおよびスケジュールといったリソースのマネジメントですが、現状、この部分に不可欠なディスパッチやアジャストはほぼ人手によって行われています。
いくら優れたディスパッチャーやアジャスター、マネージャーがいたとしてもグローバルで日々刻々と変わる条件の大規模かつ複数のプロジェクトをカバーするには相当の工数が必要となりますし、システムでフォローするにしても最終的には彼らの裁定を必要とするためここがボトルネックとなってしまいます。
これに対しグループマッチング特許の権利範囲機能を利用すれば、需給案件のフロントとなる上位組織から共有された要件について下位組織あるいはメンバーが自律的に要件調整を行なうことになるため、ディスパッチやアジャストにかかる工数の大部分を削減することが可能となります。
この際、需給案件のフロントが受けた要件を組織階層を経由せずに最小構成メンバーへ直接共有することで組織全体をひとつのグループとした水平連携のマッチングとすることもできますので、組織構造に囚われない柔軟な運用が実現します。
※特許情報の詳細はGoogle Inc.が無料で提供するGoogle Patentsでご覧いただくことができます。
また、独立行政法人 工業所有権情報・研修館が無料で提供する特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)では、キーワード検索することにより経過情報や審査書類情報等の詳細な情報をご覧いただくことができます。